企業が大きくなるにつれて起こる「目的の置換」について思うこと
― 現場の中で見えてきた“ズレ”と、もう一度立ち返るべきこと ―
企業は成長します。人が増え、売上規模が変わり、扱う数字が大きくなり、責任の重さも変わります。
成長は良いことです。しかし、成長の過程で、どこかで企業は「目的」を見失うことがあります。
本来は「お客様に喜んでもらうため」に始まったはずの仕事が、いつの間にか「怒られないため」「評価されるため」へと形を変えてしまう。
この現象を、組織論では目的の置換(手段の目的化)といいます。
最初の頃、会社には “まっすぐな空気” がある
創業期や、社員数が10名程度までの会社は、現場と経営が同じ方向を見ています。
誰のためにやっているのか、どうなりたいのか、何を大切にしたいのか。
しかし人が増えると、言葉にしなければ伝わらない領域が必ず生まれます。
目的は、見えなくなるからこそ、すり替わる
本来は「お客様に喜ばれる品質」を守る活動だったものが、いつの間にか「不良ゼロ」という数字を守ることへと変わる。
意味を与えていたのは「目的」のほうでした。
しかし、人は評価されるものを大事だと思う生き物です。
目的の置換は「悪意」ではなく「構造」で起きる
役割が分かれ、仕事が標準化され、人が増えることで、目的は静かに見えづらくなります。
組織が成長するとは、目的が見えなくなる過程でもあります。
現場で印象に残った言葉
「不良は絶対に出してはいけない。会社の信用が傷つくからだ。」
しかし社長は静かにこう言いました。
「でも、お客様は“ゼロ不良”ではなく、
“この会社は安心だ”と思えることを望んでいるんだよ。」
言葉にしてはじめて、人は目的を思い出します。
目的は「語り続けなければ」消える
- 理念は「貼るもの」ではなく「使うもの」
- ビジョンは「掲げるもの」ではなく「語るもの」
- 戦略は「資料の中」ではなく「社員の中」にあるもの
組織は放っておけば手段へ流れます。
だから経営とは、目的を思い出す時間をつくることです。
経営は「目的を示し続ける仕事」
会社は、目的があるかぎり前に進めます。
逆に目的を失った企業は、静かに動きを止めていきます。
社長の仕事は、目的を示し続けること。
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