コンビニが「高くなった」と多くの人が感じている理由
最近、コンビニで買い物をすると、多くの人が同じ感覚を抱きます。
「おにぎり、こんな値段したっけ?」
「パスタ、もう600円超えてる?」
「アイス、200円台が普通になってるよね…」
これは単なる感覚ではなく、実際にコンビニの平均商品単価は過去5年間で明確に上昇しています。
しかし、その要因は「物価が上がったから」という表面的な説明だけでは捉えきれません。
このブログでは、消費者が感じている違和感を入り口として、「なぜコンビニは値上げしても成り立っているのか」を深く掘り下げ、さらに中小企業がそこから何を学ぶべきかまでを整理します。
表面的な理由:「コスト増加」
まずは一般的に語られる要因を整理します。
- 原材料価格の上昇(小麦、コーヒー豆、油脂、乳製品など)
- 物流費の上昇(燃料費、ドライバー不足、2024年問題)
- 人件費の上昇(最低賃金の引き上げと人手不足)
- 光熱費の上昇(冷蔵ケース・空調・24時間稼働)
たしかにこれらのコスト増は事実であり、値上げの要因です。 しかし、ここまでは「みんな知っている話」です。
ではなぜ同じコスト増でも、コンビニは値上げできて、できない飲食店や小売店が存在するのか?
ここから本質に入ります。
本質的な理由:「コンビニは価格決定権を持っているビジネス」
市場には大きく分けて2種類の企業があります。
| 立場 | 特徴 | 例 |
|---|---|---|
| 価格を決める側 | 独自の価値を持ち、比較されにくい | コンビニ / Apple / スタバ |
| 価格を受け取る側 | 代替可能・比較されやすい | 一般的な飲食店 / 下請け製造業 |
コンビニは、「価格を決める側」にいる数少ない小売業態です。
理由は大きく4つあります。
- 生活導線上に必ず存在する(立地価値)
- 24時間・即時・無思考で買える(時間価値)
- 一定水準の品質保証(ブランド価値)
- “迷わない”という心理的コスト削減(UX価値)
これらが合わさることで、消費者は価格を見る前に手を伸ばしてしまうのです。
コンビニ本部と加盟店の「利益構造」を理解する
ここが最重要ポイントです。
本部の収益は「ロイヤルティ」で決まる
加盟店の売上 × 料率 = 本部の利益
つまり、単価が上がれば本部はそのまま儲かる構造です。
では加盟店は?
加盟店は
- 人件費
- 光熱費
- 廃棄ロス
を自店で負担します。
つまり値上げして売れなかったら、加盟店側がダメージを受ける仕組みになっています。
ここで、「誰が得し、誰がリスクを取っているか」という視点が重要です。
消費者の行動はすでに変化し始めている
- ドラッグストアのPB商品が強くなっている
- スーパーの惣菜コーナーの利用が増えている
- ECでの箱買いが一般化
- 個店飲食は「体験型」へシフト
つまり、コンビニが持つ利便性プレミアムは永続しないのではないか?ということです。
中小企業がここから学ぶべき「値決め」の本質
このブログの結論はここです。
値上げを成功させるためには
「価格で比較されない状態」を作る必要があります。
そのための3ステップ
- 「替えがきかない理由」を設計する(差別化)
- その価値を言語化する(ストーリー・言葉の精度)
- 伝わる形に落とし込む(ブランド・導線・UI/UX)
多くの中小企業は、この1と2が弱いまま3だけを強化しようとします。
しかし、これでは価格決定権は生まれません。
まとめ:コンビニの値段は、ただ「高くなった」わけではない
コンビニの価格上昇は、コスト増ではなくビジネスモデルの構造に根源があります。
そして今後、中小企業が生き残り成長するためには、
「値決めができる側」への転換が不可欠です。
まずは現状を整理するところから始めましょう
値決め・価格戦略・ブランド設計は、単発の施策ではなく設計思想です。
状況整理からで構いません。気軽にご相談ください。