赤字の理由なんて、外にいくらでもある。
物価高、採用難、取引先、景気、競合。全部ある。否定しない。
でも、支援の現場で何度も見た。他責が強い社長ほど、赤字が長引く。
※ここで言う「他責」は性格の悪さの話ではない。改善が止まる構造の話。
他責が強いと、改善が止まる
他責の一番の問題は「正しいかどうか」じゃない。行動しないこと。
外部要因があるのは事実だとしても、外部要因を並べるほど、手元の打ち手が消える。結果、赤字が長引く。
赤字が長引く会社で起きがちなこと
- 会議が反省会になる:誰が悪い、何が悪いで終わる。次の一手が決まらない。
- 数字が言い訳の材料になる:売上が落ちた説明が上手くなる。改善が薄い。
- 現場が黙る:言っても変わらない空気ができる。提案が減る。
- 計画が飾りになる:作って終わり。運用しない。検証しない。
この状態で「資金繰りが苦しい」と言っても、そりゃ苦しい。改善が回っていないから。
赤字の会社ほど「原因探し」が長い
黒字化する会社は、原因を捨てているわけじゃない。原因は外にもあると理解した上で、打ち手の決定が早い。
分かれ道はここ。
- 原因の正しさを詰める時間が長い会社 → 改善が遅い
- 次の一手を決める時間が長い会社 → 改善が早い
「正しい説明」より「動く設計」
赤字の局面で必要なのは、討論の勝ち負けじゃない。現金が残る仕組み。
言い方を変えると、説明が上手い会社は沈む。改善が早い会社は残る。
他責をやめろ、では変わらない。言葉を変える
「他責をやめろ」と言っても、人は変わらない。変わるのは、問いの置き方。
支援の現場では、まずここを直す。無骨に言うと、言い訳の言葉を、打ち手の言葉に変える。
変換の型(そのまま会議で使える)
- ×「なんで売れない?」
○「来月、何を変える?」 - ×「景気が悪い」
○「景気が悪い前提で、粗利を残すために何を捨てる?」 - ×「人がいない」
○「人がいない前提で、やらない仕事を決める」 - ×「競合が安い」
○「同じ土俵に立たずに、勝てる売り方に変える」
ポイントは一つ。外は変えられない。内は変えられる。話を内側に戻す。
見る数字を絞る。まずは3つでいい
赤字の会社ほど、数字が多い。資料は分厚い。だけど改善が薄い。
最初に見る数字は、これだけでいい。
① 粗利(売上ではない)
売上が上がっても粗利が残らなければ意味がない。値引き、過剰サービス、非効率な受注で、売上は上がる。赤字も増える。
② 固定費(人件費だけじゃない)
固定費は会社の体重。重いほど、景気の揺れで倒れる。家賃、リース、外注、サブスク、広告、保険。固定費の棚卸しは逃げない。
③ キャッシュ(利益より先に死ぬ)
赤字はまだ耐えられる。キャッシュが尽きたら終わる。売上の増減より、入金サイト、在庫、借入返済、税金のタイミングを見る。
※この3つが毎月、同じフォーマットで確認できるだけで改善は回り始めます。
支援現場で効く「改善の回し方」
計画は作って終わりじゃない。回して数字が変わるまでやる。ここが伴走支援の本体。
月次の運用ルール(シンプルに固定)
- 事実:先月の粗利、固定費、キャッシュを確認
- 打ち手:今月やることを3つに絞る(増やさない)
- 担当:誰が、いつまでに、何をやるかを決める
- 検証:来月、結果を見て続けるか捨てるか決める
これだけ。ここに「犯人探し」は入れない。入れた瞬間、改善が遅くなる。
打ち手は“派手さ”より“継続”
赤字局面で一発逆転を狙うと外す。必要なのは、地味でも効くものを継続すること。
- 不採算取引の整理(値上げ、条件変更、撤退)
- 売り筋の深掘り(商品を増やすより絞る)
- 導線の改善(見積、提案、成約までのムダを削る)
- 固定費の削減(契約の見直し、外注の整理)
支援者にも責任転嫁が向く
他責思考が強い場合、矛先は外部環境だけに向かない。支援者の私たちにも当然、責任転嫁が始まる(笑)。
「計画を作ったのに変わらない」「提案通りにしたのにうまくいかない」。
でも、ここで押さえるべきは一つ。本当に?計画は作って終わりじゃない。アクションプランを実行して、回して、検証して、修正して、初めて効く。
一緒に決めたやるべきアクションプランを、まったくしない場合は「他責以前の問題」だ。
原因や環境の話をする前に、まずやる。やった上で、数字を見て、直す。改善はその繰り返し。
責任の所在で揉め始めると、改善の速度が落ちる。だから支援では最初に、“役割”と“やること”を切り分ける。
- 会社側:意思決定する/実行する/数字を開示する
- 支援側:選択肢を出す/優先順位を決める/運用を回す仕組みを作る
ここを決めておくと、責任転嫁が来ても話が逸れない。「じゃあ次、何を変える?」に戻せる。
※なお、合意したアクションが実行されず、対話も成立しない場合は、支援をお引き受けできないことがあります。改善は共同作業だからです。
まとめ:外のせいにしても、外は変わらない
外部要因はある。正しい。
でも、外を責めて終わる会社は赤字が長引く。改善が止まるから。
変えられるのは、こっちの動きだけ。
他責を責める必要はない。他責を“打ち手”に変換する。それで十分、数字は動く。
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※本記事は一般的な情報提供です。個別事情により最適解は変わります。現状の数字と運用状況を見た上で、実行可能な打ち手に落とし込みます。