会社は10年で別の生き物になった。これは構造改革だった。

10周年・経営の本音

会社は10年で別の生き物になった。これは構造改革だった

創業から10年。必死にもがき続けた結果、当初とはまったく違う事業を行う会社になった。
その変化は迷走ではなく、生き残るための構造改革だったという実感を、今の言葉で残しておこうと思います。

目次

  • 創業時に見えていた景色と、実際の現実は違った
  • とにかくもがいた
  • 変わったのは事業内容だけではない
  • 構造改革とは、見た目を変えることではない
  • 守るために、変えなければならないことがある
  • 苦しかった時間は、遠回りではなかった
  • 今の会社の方が、昔より輪郭がはっきりしている
  • 10年続けて思うこと
  • これから先も、会社は変わっていく

最近、あまりブログを書いていませんでした。

節目の話を書くなら、きれいな話ではなく本音を書こうと思いました。

日々の仕事に追われていると、考えていることは山ほどあっても、それを言葉にして外へ出すところまでなかなかたどり着きません。
目の前の案件、取引先とのやり取り、資金繰りの確認、社内の調整、新しい打ち手の検討。私は3ヶ月に1つ何か新規事業をやるように自分自身にタスクを課しています。
経営というのは、机の上で「考える仕事」に見えて、実際には泥だらけで走り続ける仕事だと、年々感じるようになりました。

そんな日々を過ごしているうちに、気が付けば会社はもうすぐ10年を迎えます。

10年。数字だけ見れば、ひとつの節目です。世の中では「創業10周年、おめでとうございます」と言われる場面なのかもしれません。
もちろん、ここまで会社を続けてこられたこと自体は、簡単なことではありません。
関わってくださったお客様、取引先、金融機関、支えてくれた人たちへの感謝は大前提としてあります。

ただ、正直に言うと、自分の感覚としては「立派に10年続けてきました」というより、
必死にもがいていたら10年経っていたという方が近いです。

そしてもうひとつ、強く感じることがあります。それは、
今の当社は、創業時に思い描いていた会社とはかなりというか全く違う会社になっているということです。

事業の中身が違う。収益の作り方が違う。お客様への価値提供の方法が違う。会社としての強みの出し方も違う。
当初の延長線上に、今の姿がそのままあったわけではありません。

生き残るために、会社の構造そのものを組み替えてきた10年だった。

私は今、その実感を強く持っています。つまり、これは古くからある歴史ある企業では中々できない構造改革だったのだと思います。

創業時に見えていた景色と、実際の現実は違った

会社を始めたとき、多くの経営者と同じように、自分の中にも「こういう会社にしたい」「こうやって成長していくはずだ」というイメージがありました。
もちろん、そのイメージはゼロから生まれたものではありません。
これまでの経験、見てきた業界、得意だと思っていたこと、市場の空気感、そして自分なりの勝ち筋。
そういったものを積み上げた結果として、創業時の事業構想がありました。

ただ、現実の経営は、頭の中で描いた設計図どおりには進みません。いくら計算、シュミレーションをしても合いません。
思っていたより売れない。思っていたより利益が残らない。思っていたより競争が激しい。
思っていたより、お客様が求めているものが違う。思っていたより、自社の強みが別のところにある。

この「思っていたより」の連続が、経営の現場にはたくさんあります。
創業時には強みに見えていたものが、数年後には当たり前のものになっていることもある。
逆に、自分では大したことがないと思っていた部分が、実はお客様から高く評価されることもある。
市場環境も、商流も、競争条件も、技術も、どんどん変わっていきます。もちろん働き手の考えも働き方も変わっていきます。

つまり、会社は「始めた瞬間の前提条件」のままではいられないのだと思います。
にもかかわらず、創業時の構想を神棚に上げてしまうと、会社は現実に適応できなくなる。
その瞬間から、経営と経営者のメンタルは少しずつ苦しくなります。

とにかく、もがいた

「試行錯誤」という言葉にすると、少しきれいに聞こえます。
でも実際のところ、経営の現場で起こることは、もっと泥くさいものです。

打った施策が空振りする。やってみたが反応が薄い。利益が出ると思った仕事で思うように残らない。
伸ばしたい分野に時間をかけられず、足元の対応で一日が終わる。ようやく形になりそうだと思ったら、環境がまた変わる。

経営者は、誰かが作った正解を解くだけの仕事ではありません。
正解がない中で、動きながら、外しながら、修正しながら、会社を前に進めていく仕事です。
だから、もがくしかない時期があります。もがき続けるとやりきる、やりぬくという言葉に変わります。

しかも、そのもがきは外から見えにくい。派手なニュースがあるわけではなく、
「これで合っているのか」と自問しながら、地味な改善を積み上げる時間の方が長い。
会社の構造を変えるというのは、そういう小さな判断の連続の中で起こるのだと思います。
  またこのもがいている最中は周りからは白い目で見られることもあります。私は全く気にはしませんでしたが今思うとかなり白い目でみられていたかもしれません。

変わったのは事業内容だけではない

10年経って感じるのは、単に「扱う事業が変わった」という話ではないということです。
本質的には、何を売るかだけではなく、
誰に、どんな価値を、どう届けるかが変わった。

さらに言えば、どうやって利益を残すかではなく、どうやって価値を提供するか
会社の設計思想そのものが変わったのだと思います。自分本位の利益ではなく、価値の提供にシフトをしました。
これはかなり大きいことです。

同じ商品や同じサービスを扱っていても、誰を顧客とするかで事業の意味はまったく変わります。
単価の考え方も、提案の仕方も、必要な信頼も、継続性も、集客の方法も、全部変わる。
また、売上が立っていても利益が残らなければ、会社は消耗します。
一方で、しっかり利益が残り、再投資でき、継続的に信頼を積み上げられる構造であれば、会社は強くなっていきます。
  会社は利益を獲得よりも価値の提供に重きを置く。でも利益が残らなければ会社はなくなる。
  この一瞬矛盾する2つですが、意味を本質的に理解することでまた大きく変わります。
  会社に残る人間・去る人間も変わります。

この10年で見直してきたこと

  • 誰に価値を届けるのか
  • 何で利益を出すのか
  • どの案件を受け、どの案件を受けないのか
  • 会社としてどこに資源を寄せるのか

創業時には見えていなかった現実があり、やってみて初めて分かったことがあり、
苦しんだからこそ手放せたものがありました。そして同時に、苦しい時期を通ったからこそ、
本当に残すべきものも見えてきました。

構造改革とは、見た目を変えることではない

「改革」という言葉は便利ですが、実態が伴わないとただの飾りになります。
ホームページを変えた。ロゴを変えた。キャッチコピーを変えた。新しいサービス名をつけた。
もちろん、それらが必要な場面もあります。
でも、本当の構造改革は、表面のデザイン変更ではありません。

本当の構造改革は、収益構造が変わること
顧客との関係性が変わること
価値提供の仕方が変わること
会社としての勝ち方が変わることです。
つまり、「見せ方」ではなく「中身」が変わることです。

もっと言えば、会社の構造改革とは、
経営者自身の考え方が変わることでもあると思います。
創業時には「自分がやりたいこと」が中心でも、会社を続ける中では次第に問いが変わってきます。
お客様に本当に必要とされるものは何か。会社が継続的に価値を出せる形は何か。
無理なく利益を生み、信頼を積み重ねられる構造は何か。そうした問いへと変わっていきます。

守るために、変えなければならないことがある

経営をしていると、「変わらないことが大事」という言葉を耳にすることがあります。
たしかに、理念、姿勢、信頼、約束。そういった根っこの部分は、簡単に変えるべきではありません。

ただ一方で、現実の経営においては、
守るために変えなければならないことがたくさんあります。
商品を守るために販路を変える。雇用を守るために不採算なやり方をやめる。
信頼を守るために無理な受注を断る。会社を守るために過去の成功体験を手放す。

この判断は、頭では分かっていても簡単ではありません。
でも、過去にうまくいったやり方が、未来の正解とは限らない。
むしろ、過去の成功体験が、今の変化を鈍らせることすらあります。

変えるべきものを変え続けた結果、10年続いた。

苦しかった時間は、遠回りではなかった

振り返ると、うまくいかなかった時期、苦しかった時期、迷いながら進んだ時期はたくさんありました。
もっと器用にやれたかもしれない。もっと早く気付けたこともあったかもしれない。
遠回りした部分も、きっとあります。

それでも今思うのは、その時間は決して無駄ではなかったということです。
なぜなら、経営の本当の感覚は、うまくいっている時よりも、苦しい時にこそ鍛えられるからです。

利益が出ない仕事のしんどさ。価格競争の怖さ。固定費の重さ。
売上だけでは会社は守れないという現実。資金繰りの緊張感。人や取引のありがたさ。
信頼を失うことの怖さ。地に足のついた利益の大切さ。
こうしたものは、本や理論だけではなかなか身につきません。

現場でぶつかって、痛みを伴って、ようやく腹落ちする。
会社の構造改革というのは、経営者がこうした現実を真正面から受け止めた結果として起こるものなのだと思います。

今の会社の方が、昔より輪郭がはっきりしている

創業時には勢いがあります。未完成でも前に進む力があります。
一方で、10年経った今の会社には、勢いとは別の強さがあると感じます。
それは、輪郭がはっきりしてきたということです。

自分たちは誰に価値を出したいのか。どんな仕事なら力を発揮できるのか。
どんな案件であれば、お客様にも自社にもプラスになるのか。逆に、何をやらない方がいいのか。
この「やること」と「やらないこと」の輪郭が見えてきたのは、大きいです。

会社にとって本当に苦しいのは、売上がない時だけではありません。
方向性が曖昧で、何でもやるけれど何も積み上がらない時も、かなりしんどい。
その点で、今の当社は創業時よりも、少しずつですが自分たちの立ち位置が明確になってきたと思います。

10年続けて思うこと

10年という時間は、短くはありません。けれど、経営者として振り返ると、一瞬だったようにも感じます。
あの時は本当に苦しかったなと思う場面も、今となっては会社の血肉になっている。
あの判断がなければ今はなかったと思うこともあれば、あの失敗があったから無理な方向に進まずに済んだと思うこともあります。

きれいに整った10年ではありませんでした。むしろ、凸凹だらけだったと思います。
でも、その凸凹こそが会社の歴史なのだと思います。
最初に描いた青写真どおりに進まなかったこと。途中で何度も考え直したこと。
苦しい中で利益構造を見直したこと。お客様との向き合い方を変えたこと。自社の強みを再定義してきたこと。
そのすべてが、今の会社を作っています。

会社を残すには、会社を変えなければならない。

この当たり前でいて重い事実を、10年かけて少しずつ理解してきた気がします。

これから先も、会社は変わっていく

たぶん、今の事業も永遠にこのままではありません。
また市場は変わり、求められる価値は変わり、会社としての勝ち筋も変わっていくと思います。
10年前には見えていなかったものが今見えるように、今まだ見えていない変化も、これから先きっとあるはずです。

だからこそ、これからも大事なのは、過去の形にこだわりすぎないことだと思っています。
創業時の理想を大切にすることと、創業時の形に執着することは違う。
根っこを守ることと、やり方を固定することも違う。

変わるべき時に変わる。やめるべきものはやめる。伸ばすべきものに資源を寄せる。
数字と現場の両方を見る。そして、会社が本当に価値を出せる構造をつくり続ける。
その積み重ねが、次の5年、次の10年につながっていくのだと思います。

10年経って、ようやく少しだけ分かったことがあります。
続けるというのは、ただ耐えることではありません。同じ形を守り抜くことでもありません。

続けるとは、変わり続けることだった。

そして、その変化がその場しのぎではなく、会社の価値、利益、顧客との関係性をより強くする方向に向かっているなら、
それは単なる迷走ではない。それはきっと、構造改革なのだと思います。

ここまで支えてくださった皆さまに感謝しつつ、また次の一歩を積み上げていきます。
10年経っても、まだ道の途中です。でも、だからこそ面白い。会社はまだ、これからも進化していけると思っています。

理想ではなく現場、机上ではなく実行。その中で会社の形を組み替えてきた10年でした。

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