決算前になって業績を初めて確認する企業の事例。

経営支援領域

経理・財務改善シリーズ

決算前になって業績を初めて確認する企業の事例

「今期の利益、黒字ですか?」「決算もうすぐですよ」――そう問われて初めて、業績を確認する企業が少なくありません。
今回は、決算直前まで業績を把握できていなかった企業の事例と、そこから見えた経理管理の課題を紹介します。

1.事例概要:決算1か月前に「初めて」試算表を確認

大阪府内のサービス業A社は、月次会計を外部の会計事務所に丸投げ。
社長自身は「毎年なんとなく黒字だろう」と考え、売上や利益の推移を確認していませんでした。
決算1か月前に銀行から「今期の利益はどうですか?」と聞かれ、初めて試算表を取り寄せたところ、
予想に反して大幅な赤字であることが判明しました。

発覚時の状況

  • 売上は前年同期比▲12%
  • 経費(人件費・外注費)が前年より+15%増
  • 結果として営業利益▲800万円の赤字見通し

2.原因:月次試算表の未確認と情報伝達の断絶

社長は会計事務所から毎月メールで送られていた「試算表PDF」を一度も開封しておらず、
現場の数値感覚と実際の会計データに大きな乖離が生じていました。
また、経理担当者も「社長が数字に興味を示さないため、報告していない」との状態。

ポイント: 会計事務所が月次試算表を作っても、
経営者が見る・考える・判断する仕組みがなければ、
「経理機能は存在していない」のと同義です。

3.改善の取り組み:月次決算会議の導入

認定支援機関の支援のもと、A社では以下の改善を実施しました。

  • 会計事務所と経営者・経理担当者による「月次報告会」を毎月開催
  • 売上・粗利・経費の「3ポイント報告」を簡易フォーマットで共有
  • 資金繰り表をクラウド共有化し、翌月の資金残高を見える化

6か月後には黒字化への見通しが立ち、銀行からの追加融資もスムーズに進むようになりました。

4.教訓:数字は「会計事務所のもの」ではなく「経営者の武器」

決算書や試算表は“会計資料”ではなく、“経営判断の道具”です。
売上・粗利・経費の流れをリアルタイムで把握することで、価格設定・採用・投資判断がすべて変わります。
「決算前に初めて数字を見る」状態は、もはやリスクと捉えるべきです。

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