月末の資金繰りがしんどい理由|中小企業経営者が抱える本当の負担とは
月末になると急に気持ちが重くなる──。
経営者であれば誰もが一度は感じたことがある感覚です。
「今月の支払い大丈夫かな…」
「入金がずれたら資金ショートするかも」
「給与・家賃・仕入・税金…全部月末に寄ってくる」
表面上は冷静に見えても、内心はずっと資金繰りの計算をしている。
月末は、中小企業の経営者にとって“精神的に一番しんどい日”と言っても過言ではありません。
ほぼすべての中小企業が「月末の資金の谷」に苦しんでいます。
1.なぜ経営者は月末がこんなにしんどいのか?
① 支払いが「月末に集中」する構造になっているから
多くの企業は、固定費や仕入の支払いが月末に集中します。
- 給与
- 家賃・リース代
- 仕入・外注費
- 保険料
- 借入返済
これらの支払いが一気に来る。
つまり月末はキャッシュアウト(支払い)が極端に大きくなる日なのです。
② 売上の入金は「翌月または翌々月」だから
対して、売上の入金はすぐには入りません。
- 小売 → 即時
- 卸売 → 翌月末
- 建設・製造 → 45日〜60日サイト
入金と支払いのタイミングがズレることで、月末の資金繰りが毎月ピークを迎えるのです。
③ 税金と社会保険が追い打ちをかける
多くの社長が口を揃えて言います。
「黒字倒産の本当の犯人は税金と社会保険や。」
とくに負担が大きいのが──
- 消費税
- 源泉所得税
- 法人税・地方税
- 社会保険(毎月)
消費税は「預かった税金」といえど、売上に比例して増えるため、
支払う頃にはキャッシュが足りない…これが月末をさらに重たくします。
④ 社長だけが全ての支払い責任を背負っている
従業員にとって月末は「給料日」ですが、
社長にとっては“全支払いが間に合うかを背負う日”です。
「今日、通帳の残高は足りているか?」
「振込予約は間に合っているか?」
「万が一足りなかったら誰に相談する?」
この精神的負荷は、社長にしかわからないものです。
月末の資金プレッシャーを感じるのは、むしろ「普通の経営」。
2.月末に資金が足りなくなる会社の共通点
① 粗利が薄く、手元に残らない
どれだけ売上があっても、粗利が低いと資金は増えません。
特に原価高騰・人件費上昇の影響で、粗利が削られている企業は多いです。
② 借入返済が利益を上回っている
運転資金なのに5年返済など、短期の返済が重くのしかかり、
月末のキャッシュ不足を招きます。
③ 売掛回収サイトが長い
45日〜90日の入金サイトにより、月末の支払いに間に合わないケースは非常に多いです。
④ 設備投資・税金でキャッシュが抜けている
黒字倒産の典型パターンで、これに消費税の支払いが重なると一気に資金が尽きます。
3.月末の資金繰りを軽くするための改善策
① 支払いサイトを交渉する
仕入先と相談し、月初や中旬に振り分けるだけで資金繰りは改善します。
② 粗利改善
- 原価の見直し
- 値上げ(値付けの適正化)
- 低採算品の整理
③ 借入返済のリスケ(返済猶予)
経営改善計画を活用し、月々の返済を軽くするのは有効な手段です。
④ 税金資金を分けて管理する
消費税・法人税を月次で積立し、月末負担を減らす。
⑤ 資金繰り表の作成
6か月先まで見通せるようになると、焦りや不安が大幅に減ります。
数字が見えるだけで精神的な負担は大きく減る。
4.月末の資金不安は「経営改善」の大きなサイン
月末になるたびに胃が痛くなる。
その状態が3か月以上続くなら、資金繰りの構造から見直す必要があります。
銀行返済、粗利、支払いサイト、税金──
どれか一つを調整するだけで資金繰りは劇的に改善します。
仕組みを整えれば、どんな会社でも改善できる。
5.月末の資金繰りで悩んでいる社長へ
資金繰りは「頑張る」「気合」ではどうにもなりません。
正しい順番で改善すれば、必ず楽になります。
改善の順番はこれだけ。
- 資金繰り表を作る
- 粗利と固定費の構造を見る
- 税金と返済の負担を分析する
- 返済が重い場合はリスケを検討
- 経営改善計画で“再建ストーリー”をつくる
焦る必要はありません。一緒に順番に整えていけば大丈夫です。
「月末がしんどい」「資金繰りが苦しい」「返済が重い」と感じている場合は、
以下からお気軽にご相談ください。