決してリスケは悪くない。構造改革に必要な「時間」を確保する戦略
「リスケをしたら終わりだ」
「リスケは銀行に見放された証拠だ」
「リスケは経営者として恥ずかしい」
こうした言葉は、今でも現場でよく耳にします。そしてまたこのように考えていませんか?
しかし、現実は全く逆です。
リスケは「逃げ」ではなく、「時間を買う」ための戦略的な手段です。
特に今のように、外部環境が急激に変わった時期には、なおさら。
- 原材料価格の高騰
- 円安による仕入れコスト上昇
- 人件費の上昇
- 市場の価格圧力増大
- 税金の支払い
- 海外から安価な輸入品の増大
「頑張れば戻せる」ではなく、構造そのものが変わってしまったのです。
環境が変わった時、必要なのは「努力」ではなく「設計」
売上はあるのに、キャッシュが残らない。
今の中小企業で、もっとも多い相談です。
しかし、この状態は「頑張りが足りない」のではありません。
利益の出る構造ではないことが問題です。
そして、構造を変えるには時間が必要です。
リスケは「時間を買う」ための手段
リスケの本質は、返済を止めることではありません。
返済によって奪われている「事業を立て直す時間」を取り戻すことです。
返済を減らすことで、資金繰りが落ち着きます。
資金繰りが落ち着くことで、判断が冷静になります。
冷静な判断ができると、中長期の打ち手を打てるようになります。
銀行は「敵」ではなく「パートナー」
ここで重要なのは、銀行との向き合い方です。
「リスケをお願いする」ではなく、
「事業を立て直すための計画を共有する」という姿勢が必要です。これは強く思います。
弊社も金融機関を本当に大切なパートナーと考えています。
銀行等金融機関が知りたいのは、これだけです。
- なぜ今、資金が苦しいのか(原因)
- 今後どの構造を変えるのか(方向性)
- どの期間で回復させるのか(時間軸)
- 返済を再開できる根拠は何か(数字)
- 実現の可能性はあるのか(根拠)
つまり、計画性と説明責任、そして実行力です。
リスケ期間中にやるべきこと
- 利益率の見直し(値決めの再設計)
- 不採算の撤退・代替へのシフト
- 顧客ターゲットを再選定し、セグメントを絞る
- 費用構造を固定 → 変動へと変える
- キャッシュサイクル(回収・支払サイクル)の再設計
重要なのは、「売上を戻す」ではなく「利益の出る体質に変える」ことです。
まとめ ― リスケは「前に進む選択」
リスケは、会社を守るための現実的な戦略です。
決して経営者の責任逃れではありません。
行き詰まりそうなときに、呼吸を整え、立て直すための時間を確保する選択です。
外部環境が変わった今、
過去と同じやり方で戻す必要はありません。
ここからは設計です。
ここからは再構築です。
「未来をつくるためのリスケ」なら、それは正しい選択です。
経営改善計画を活用した「筋の通ったリスケ」
リスケを戦略的に進めるうえで、非常に有効なのが
「経営改善計画(いわゆる伴走支援型の改善計画)」です。
単に「返済が苦しいので待ってください」と伝えるのではなく、
「こういう理由で資金が不足しており、これからこういう方向に事業を再設計し、●ヶ月後に収益改善を実現させ、その時点で返済を再開します」
という“回復シナリオ”を銀行と共有するための計画書です。
なぜ経営改善計画が有効なのか?
- 銀行に対して「思いつきではなく、根拠のある再建」を認定支援機関と共に示せる
- 月次のモニタリングにより、改善プロセスがブレなくなる
- 事業モデルの再構築を「言葉」ではなく「数字」で示せる
- 返済再開の時期・根拠を明確にできるので信頼が生まれる
つまり、経営改善計画は「銀行との信用を維持したままリスケを行う手段」とも捉えることができます。
具体的には、次の3点を明確にします。
- なぜ今、資金が不足しているのか(原因分析)
外部環境・原価構造・利益率・キャッシュサイクルの変化を整理します。 - どのように利益体質へ転換するのか(改善施策)
値決めの再設計、商品ラインの整理、顧客ターゲットの再定義、固定費見直しなど。 - いつ返済を再開できるのか(時間軸と根拠)
営業利益・営業キャッシュフローの改善見込みを数字で示します。
この3点を中心に様々な計画書と共に金融機関に
「返済再開の見込みがある=リスケは合理的である」
と判断してもらえる計画を作成します。もちろん絵にかいた餅ではNGです。
リスケの本質は「信用を失わずに、時間を確保する」こと
返済を止めることではなく、
再び返済できる状態に戻すまでの“静かな準備期間”をつくること。
だからこそ、リスケと経営改善計画はセットで進めるのがベストです。
リスケはゴールではありません。
再び前に進むための助走期間です。
Plow株式会社は「経営改善計画」の伴走支援を得意としています
当社は中小企業の資金繰り・銀行対応・事業再設計を、実務レベルで支援する
認定経営革新等支援機関です。
経営改善計画の策定から、銀行との協議支援、改善施策の実行まで
現場に入りながら伴走する支援スタイルをとっています。
さらに、計画策定には補助金の利用が可能です
「経営改善計画策定支援」には、国の補助金(最大3分の2)を活用できる場合があります。
つまり、企業が負担する費用を抑えながら、構造改革に必要な計画づくりと実行支援を進められます。
リスケは「終わり」ではありません。
立て直しのスタートラインです。
そのスタートを、正しい計画と実務で支えることができます。
📩 実務で一緒に進めたい方へ
銀行との対話資料、事業計画、資金繰り、利益構造の再設計など、実務から伴走します。