新市場開拓戦略と新製品戦略の違いと実践方法。

経営支援領域

成長戦略×経営組織論

新製品戦略と市場開拓方法

既存顧客への販売が頭打ちになったとき、中小企業の次の一手は「新市場」か「新製品」。
本稿では、新製品開発で再成長した実例を、
経営戦略論と経営組織論の視点から解説します。

1.アンゾフの成長マトリクスで見る4方向の戦略

経営戦略の基本理論であるアンゾフの成長マトリクスでは、企業成長の方向性を次の4つに分類します。

  • ① 市場浸透戦略:既存市場×既存製品(既存顧客への深耕)
  • ② 新市場開拓戦略:新市場×既存製品(販路・地域・顧客層の拡大)
  • ③ 新製品戦略:既存市場×新製品(新しい価値の提供)
  • ④ 多角化戦略:新市場×新製品(新分野への進出)

地方製造業の場合、②と③が現実的な成長ルートです。
ここでは、新製品戦略を通じて再成長を果たすストーリーを描きます。

2.事例:ある会社が再成長する新製品戦略

日用品メーカーC社。業務用資材を製造し、地元自治体や病院向けに販売していました。
しかし、調達入札の価格競争が激化し、利益率が低下。
同社は「業務用技術を家庭に活かす」という発想で、新製品開発に踏み切ります。

開発した新製品例

  • プロ仕様素材を使った「家庭用速乾モップ」
  • 洗剤不要で汚れを落とす「マイクロファイバークロス」
  • 高齢者でも使いやすい軽量ハンディモップ

これらをWEBで販売した結果、2年で家庭用製品の売上比率が大きく変わりました。
同社は今も「業務×家庭」のハイブリッド商品群を拡大中です。

3.理論で読み解く:新製品戦略の成功要因

経営組織論の視点から見ると、この成功は「組織学習」と「動的ケイパビリティ」が機能した結果です。

① 組織学習(アージリス&ショーン)

既存市場の失敗体験をもとに仮説を立て、小さな実験で検証し、組織全体に知識を共有。
この「学習ループ」を高速で回したことが、短期間で成果を出せた要因でした。

② 動的ケイパビリティ(テイス)

「業務用→家庭用」という方向転換を支えたのは、現場の技術・ノウハウを新しい環境に適応させる柔軟性。
外部の販売チャネル(WEB・SNS)を迅速に活用した点も、環境対応力の高さを示しています。

4.新市場開拓との組み合わせが成長を加速

同社は次のステップとして、海外販路向けの輸出を開始。
家庭用製品を中心に「新市場開拓」と「新製品戦略」を組み合わせ、事業の二軸化を進めています。

成長のカギは「製品を変える」か「市場を変える」かではなく、
どちらも少しずつ進め、学習しながら軸を強くしていくこと。

5.まとめ:中小零細企業の新製品戦略は“小さく試して学ぶ”

新製品開発というと大掛かりな投資を想像しがちですが、C社のように、
既存技術を活かして“小さく試す”ことが第一歩です。
成功の本質は製品ではなく、学習する組織構造をつくることにあります。

「作って売る」から「学んで伸ばす」へ。
経営組織論の言葉で言えば、それが適応する組織=レジリエント企業です。

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