売上増でも赤字?因数分解で見えたキャッシュフロー悪化の事例
「売上は伸びているのに、現金が減っている」――そんな相談が増えています。
今回は、損益分岐・利益構造を“因数分解”して分析した結果、赤字要因が見えた企業の事例を紹介します。
1.事例概要:売上は増加、しかし利益が出ない
製造業であるC社(年商2.5億円→3.8億円)は、新規取引拡大により売上が50%増。
しかし、決算では経常利益が前年の半分以下に。さらに、現預金は前期比▲1,200万円と大幅減少していました。
主な数値の変化
- 売上高:2.5億円 → 3.8億円(+52%)
- 売上総利益率:27% → 20%(▲7pt)
- 経常利益:900万円 → 420万円
- 営業CF:+700万円 → ▲600万円
2.原因:利益構造を因数分解して見えた“粗利率低下”
経営分析の結果、原価率上昇と値引対応の増加が主因でした。
新規取引先への納入条件が厳しく、材料費が上がったにもかかわらず販売価格を据え置いたことが影響。
売上増=利益増とは限らない典型例です。
売上=単価×数量、利益=売上-原価-固定費。
この分解を怠ると、「儲かっている錯覚」に陥り、資金繰り悪化を招きます。
3.CF急減の要因:売掛・在庫・固定費
売上増加に伴い、売掛金と在庫が膨張。
一方で新規人員採用や設備投資で固定費が上昇し、営業キャッシュフローがマイナス化していました。
- 売掛金:2,400万円 → 3,800万円(+58%)
- 在庫:1,200万円 → 2,100万円(+75%)
- 人件費:5,000万円 → 6,200万円
利益が残らないのではなく、「利益が現金化される前に出て行く構造」になっていたことが問題です。
4.改善策:因数分解×CF管理の導入
認定支援機関による支援で、C社では以下の手法を導入しました。
- 「売上構造の因数分解表」を月次で作成(単価・数量・原価率)
- 営業CFとPLを連動させた「キャッシュフロー管理表」を導入
- 利益率の低い案件を見直し、粗利率を25%まで回復
6か月後には営業CFが黒字化し、手元資金も回復しました。
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