売上が2倍でも資金繰りが悪化した企業の事例
「売上は伸びているのに、なぜかお金が残らない」――中小企業でよく見られる現象です。
今回は、売上が2倍に増加したにもかかわらず、現預金が増えず資金繰りが悪化した企業の事例を紹介します。
1.事例概要:売上は前年の2倍、しかし現金残高は変わらず
関西の製造業B社(年商3億円→6億円)は、新規取引先の拡大により売上が急増。
ところが決算時、現預金残高は前年と同水準。むしろ支払いサイトの延伸と在庫増加で資金繰りは悪化していました。
数字の変化(抜粋)
- 売上高:3億円 → 6億円(+100%)
- 売掛金:3,000万円 → 7,000万円
- 在庫:2,000万円 → 4,500万円
- 現預金:2,200万円 → 2,100万円(変化なし)
2.原因:利益よりも「運転資金の膨張」
売上拡大により材料仕入・外注・在庫が増加し、同時に取引先の支払サイトが長期化。
一方で仕入支払は短期のままで、キャッシュアウトのタイミングが前倒しとなり、資金ショート寸前に。
ポイント: 「黒字倒産」の典型例。
利益が出ていても、売掛金・在庫の増加が資金を吸収し、現金が残らない。
3.改善策:運転資金計画の導入と資金繰り表の可視化
支援内容
- 月次の「運転資金表」作成(売掛+在庫-買掛)
- 新規取引先の支払サイト短縮交渉
- 日本政策金融公庫の「売上増加対応資金」活用
- 資金繰り表をクラウド共有化し、翌月末残高を常時把握
これにより、資金繰りは5か月で安定化。黒字経営を維持しながら、キャッシュフローの改善に成功しました。
4.教訓:「売上の増加=現金増加」ではない
売上が伸びても、売掛金・在庫・前払い費用などが増えれば、現金は逆に減少します。
経営者が「利益」と「キャッシュ」を混同しないためには、月次資金繰り管理が不可欠です。
成長期こそ「利益より現金」を見る。
数字を把握する仕組みが、企業の持続性を決めます。
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